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Trajectory代表の軌跡
- Number.01[ 助走・創業の頃 ]
- Number.02[ ホップ ]
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Nomber.01助走・創業の頃
酒本(富夫)の目は宙をにらんだまま動かなかったいつもの柔和な表情が消え、腕組みをする手に力が入っていた。
大きな決断をするときの酒本のクセである。
サラリーマン時代、大手大規模小売店、大手生保会社に籍を置き、管理職としてそれなりの地位も得た。
日々の業務をさぼっていたわけではない。
かなり一生懸命働いたという自負がある。
数字に追われ、理不尽さに耐えたこともあった。
しかし仕事がいやになったわけではなかった。何かが物足りない。
「このままの人生でいいのか。もっと自分にふさわしい仕事があるはずだ」
目の前のすっかり冷めたコーヒーをすすった。酒本の自問自答する日々が続いた。
「とりあえず辞めよう。辞めることは終わりではない。新しい出発なのだ」。
ふつふつと湧き上がる疑問と不安を吹っ切るように答えをだした。
長年慣れ親しんだ職場をあとにするとき、少しの寂しさを感じたが、不思議と未練は感じなかった。
酒本は人との出会い、縁を大事にする。
人との縁が次の仕事へとつながっていく。 -
Number.02ホップ
そのまま勤めていればもっと上のポストを得られたかもしれない。
しかし勤めを辞めれば翌日から無職である。
「サラリーマンだけが仕事ではない」それでも焦りはなかった。むしろあらたな分野への挑戦意欲が湧き上がるのだった。
そんなとき人づてに入ってきたのが設備多能工という耳慣れない仕事であった。
酒本にとっては全く未知の世界。建築工事のイロハも知らない。
設備多能工文字通り雲をつかむ話である。不安が大きい反面、将来、独立の可能性もある新分野への挑戦は魅力的でもあった。
「独立するなら応援するよ」
そう耳打ちされたときから酒本の腹は固まっていた。
過去、酒本には建築労働者としてのアルバイト経験がある。
その経験だけで新しい事業に乗り出せるほど世の中甘くないことは酒本自身がよく知っていた。
「現場で経験を積むしかない」
酒本の決断は早かった。つてを頼りに設備多能工の会社に身を置いた。
たまたま紹介された会社はやり手ワンマン社長が経営する急成長企業だった。
酒本の新しい日々が始まった。スーツが作業着にかわり頭にはヘルメット、革靴は鉄板のついた安全靴にかわった。
腰には安全帯をつけ、形だけは一人前のはずだ。あえて一人前のはずと書くのは、いでたちは立派なのだが、新入学生のランドセル姿と一緒でどうにもサマにならないのである。
華麗なる変身とはいかなかったが、独立を視野にいれているだけに最初から酒本の動きは違った。
先輩の指導で次々とスキルをものにしていく。目的がはっきりしている分だけ覚えるのも早い。同じ現場の仲間と打ち解けてくると、詰所で容赦のない言葉がでてくる。
「大会社をやめてまでくるところじゃないよ」「独立?そんなに甘くないよ」
悪気はないのだが、彼らの遠慮のない言葉が酒本の胸に突き刺さる。
そんな仲間とのやり取りのなかにも酒本らしさがあらわれる。
適当に相槌を打ったり真顔になったり。とりわけ酒本の最大の武器は、童顔に加え満面の笑みにある。
笑顔がはじけたとたん、まわりの警戒心が消えてしまう。
酒本は内に秘めた情熱を表には微塵もみせない。第一、目が笑っていないのである。
一年間は独立までの修行と現場体験の期間と決めていた。
ところが、どんな仕事もそうだが党えてくると仕事が楽しくなる。
酒本は生来、楽しいことが大好きだ。他人も楽しく自分も楽しくないと気がすまないのだ。
だから仲間と飲みに行って語り合うことも多い。
仲間にも恵まれ、現場にもなじんだ酒本だったが、肝心の内勤の辞令がこない。
内勤経験こそが独立のノウハウを学ぶ機会だ。
当初の約束では一年後に内勤経験を積ませる約束だった。
いつの間にかこの約束が反故にされようとしている。
実のところ、将来ライバルとして独立する酒本の処遇など本気で考えるはずもなかった。
このあと三年半にわたって酒本の我慢の日々が始まるのである。
「このままでは埋もれてしまうだけだ」
そう考え、酒本が次のステップへと足を踏み入れた時、すでに四年半の歳月がすぎていた。 -
Number.03ステップ
西暦2000年十一月二十二日この日が有限会社デイワーク創業の日である。
酒本はいつもの朝を迎えた。緊張感はあったものの、この日特別に感慨にひたる余裕などなかった。
「あともどりはできない。前に進むしかない」そう自分に言い聞かせた。
真新しい書類ケース、パソコン、作業員のための作業着、
電話とファクスが事務所の雰囲気を醸し出しているが、十一月二十二日は登記上の日に過ぎない。
本当に忙しかったのは不安を抱えながらあちこち走り回った約一か月間の準備期間である。
大手サブコンとの取引にしても、いきなり取引コードをもらえない。頭を下げて同業他社のヒサシを借りるしかなかった。
もう一つの心配は資金繰りである。
賃金の支払いが二か月ほど先行するのがこの業界の常識である。くわえて日払いあり、週払いありと賃金の支払いも様々なのだ。
この厳しい局面でもまた酒本は同業他社の好意で助けられた。
一時的に取引コードを間借りしている会社が、取引先からの入金前に創業して間もない酒本の状況を案じてデイワークへの支払いを先行してくれた。
人の好意、人の援助――厳しい局面でいつも救いの手が差し伸べられる。
これこそ酒本の真骨頂、もって生まれた人徳のなせるわざである。
酒本は創業にあたって理念をかかげた。
「信頼と誠実」である。
創業直後の身で大上段に経営理念というにはおこがましい。
しかしその理念に揺るぎはなかった。
酒本がまだ幼い頃、-酒本の父・昇(故人)から一貫してしつけられたのは「感謝の心、感謝の言葉を忘れるな」―の言葉であった。
信頼と誠実はその延長線上で出てきたと言っていい。
信頼できる人間、誠実な人間、感謝される人間酒本は常々自分がそんな人間でありたいと思っている。
自分が理想とする人間像をそのまま企業理念にした。
この考えを実践するため、酒本はどんな小さな仕事でも引き受け、丁寧な仕事を心がけた。誠実な仕事が認められれば、小さな仕事が大化けする可能性が十分にあるからだ。
やがて大手サブコンとの取引量が増えていく。
順風満帆だったかと言えばそうではない。経営が軌道に乗りかけたころ、降って湧くように仕事が舞い込んだことがあった。
ここで酒本は経営者として初歩的なミスをおかした。
相手の規模も企業体質も確かめず取引を始めたのである。
もちろん、仕事ならなりふり構わず受け付けるほど仕事に飢えていたわけではない。ただ欲がなかったかと言えばウソになる。
当初の緊張感がややゆるみ、心にスキができたのだ。案の定、百万を超える焦げ付き(貸し倒れ)が出た。
この一件で大きな教訓を得た。現場数の増加とともに作業員数も増えてきた。
当初の目標は業務を軌道に乗せることにあった。
しかし仕事量が増えてくると現場トラブル、労災事故をいかにして無くすか、経営者として新たな試練が加わった。 -
Number.04ジャンプⅠ
楽観していた現場にトラブルが発生したり、絶対の信頼を置いた人間がそうでなかったり、反対に一現場限り一回限りのはずが次々と新現場へとつながったりと嬉しい誤算もある。
元来、人と会うのが好きだ。
だから創業して八年もすると次々と新しい人脈ができてくる。
業務の拡大とともに、手狭となった事務所をJR東神奈川駅前から横浜駅西口への移転を決意。
横浜駅は、はるかに利便性がいい。
一等地に事務所を構える、酒本の夢の一つがかなった。
縁あって建設業の経営者になった。ようやく軌道に乗った今、酒本の目は次をにらんで動き始めた。
「新規事業を手がけたい」
浮沈の激しい建設業のほかに、もう一つの事業の柱がほしい、その思いが酒本の全身からふつふつと湧き上がってくる。
酒本は今、昼夜を問わずそのための情報収集に余念がない。経営者として次のステップに踏み出し、羽ばたく日を夢見ている。
二〇一四年正月、ふくよかな日本酒特有の香りが口いっぱいに広がる。
年末に引っ越しを終えたばかりの新居で初めて迎える新年。
元旦の朝、窓の景色だけではなく、空気にさえ厳粛さが漂う。
お屠蘇を口に運ぶ酒本の胸中に、熱い思いが去来する。
「四月には従業員全員を正社員化したい」世界に冠たる高い技術を誇る日本の建設業界。
超近代的な高層ビル群と、それを担う建設労働者のギャップが著しい。
「職人の多くは社会保険にも入れず、有給休暇もない」長年の悲願だった改革への鼓動が高鳴る。
2杯目の盃を一気に飲み干したときの目に、「今年こそ」の決意が宿っていた。
二〇一二年四月、建設業界を監督する国土交通省は、建設労働者の社会保険未加入問題の解決を業界に迫った。
旧態依然の体質から脱皮できない建設業界に“お上のお達し”が出た。業界の近代化を掲げる酒本にとってフォローの風が吹き始めていた。
新居で初めての正月を終えた酒本の胸中は、すでに戦闘態勢に入っていた。
「この4月に従業員全員を正社員にする。
ハードルは高いが乗り切ろう」再び酒本の大号令がかかった。
取引先に足しげく通い、社会保険加入の財源となる法定福利費への理解を求める日々が続く。
酒本自ら陣頭指揮をとった。4月、正社員化を実現。
実現は困難、絶望的といわれた業界の中にあって酒本が成し得た快挙である。 -
Number.05ジャンプⅡ
ひとつ成し得たからと言って、これで喜んでいるわけにはいかない。
正社員化は酒本のめざす壮大な構想の通過点に過ぎない。
次のステップは新事業である。
六月、当初の人材ビジネスからの軌道修正を決意。
役員の一人に、「業界の枠にこだわるな。今までにないビジネスを探せ」常に時代の流れを読み取ろうとする酒本の叱咤激励が飛んだ。
一度決断すると酒本の動きは素早い。
事業の拡大を図るには、今の社名(デイワーク)を変えたほうがいい…創業時の株式会社デイワークの社名には、愛着がある。
自ら産んで育てた旧社名。
しかし新たな思いを込めた新社名が決まると、不思議と未練はない。
株式会社グッド未来舎万感の思いを込めた新社名。ようやくここまでたどり着いた。
新社名-言葉で言うほどなまやさしく簡単ではなかった。
浮かんでは消え、消えたはずの言葉がまた浮かんでくる。 あれこれ考えるより、自分が思い描く姿をそのまま言葉にすればいい、、将来への夢、誠実と信頼、未来への歩み、夢の実現、未来への挑戦、出てくる言葉は、そのどれをとっても人への思いやりと、未来である。
新社名構想が固まったとき、真夏の日差しが容赦なくふりそそぐ頃になっていた。
壮大な夢への挑戦――また新しい一歩を踏み出そうとしている。
十一月二十二日新社名での事業がスタートした。
次を見据える酒本の瞳がきらりと輝いた。
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